「カカシくぅん!見て見てー!!」
「かぁしー」
…誰か、この親子をどうにかして下さい。
−パパとナルトの親子日誌 byカカシ−
4代目の補佐官になって数ヶ月。
師弟という縁で指名された時、実は少し…いや、かなりか?
自分への信頼とか、一人前として認められたんだ、とか。
嬉しかったんだ……えぇ、そうです、過去形ですよ。
今になって分かったんだよ。
前任の補佐官が、あんなにもやつれていた理由を。
「ねえねえねえ、書類なんかと睨めっこなんてしてないでさ、こっち向いてよカカシ君!」
「かぁしー?」
耐えろ…耐えろ耐えろ、耐えるんだ、俺。
今ここであっちを見てみろ…今日中にこの山と詰まれた仕事が終わる可能性はゼロになるぞ。
「かぁしぃー」
が、さっきからその可愛らしい声に理性がぐらぐらと揺れているのは確かで。
もちろんそんな事は、この食えない4代目にはお見通しに違いない。
じゃなければ、こんな…こんな…
視界の端に見えるか見えないかくらいのところにナルトを抱き上げているはずがない。
光が反射するようにチラチラと見える、柔らかそうな金髪も。
耳のすぐ横で舌ったらずに呼ばれる声も。
ぎりぎり触れないまでも、背中には子ども特有の熱が伝わるようで。
「かぁしー?なぅのこと…きぁいなの…?」
「……ナル…っ!!」
はたけカカシ、ギブです。
ギブアップです。降参です。
これ以上は耐えられません。
すでに理性は磨り減って今にも切れそうです。
満足げな表情の先生が最高にむかつきますが、仕方ないんです。
ナルトにあんな表情で誘われたらいくしかないでしょう、人として。
だって…だって男の子だもん。
「…何か変なこと考えてない?カカシ君」
「考えてませんよ」
「『男の子』なんて可愛いものじゃないでしょ。君」
「…人の考え読むのやめてもらえますか」
「いい加減ナルくん離してくれる?」
「嫌です」
「カカシ君は仕事があるでしょー!!?」
「先生だってあるじゃないですか!!」
「ボクもう終わったもーん!」
「!!」
前任の補佐官は、こんな補佐官いじめに長い間耐えていたんですね…
尊敬させていだたいてもいいでしょうか。
とりあえず、今日も残業決定です。