俺と先生の差はたくさんある



年齢の差


力の差


地位の差


身長の差



でも今、気になるのはこの大きさ













−こたつ−













ぬくぬくのコタツにもぐりこみ、いそいそと先客の足に冷えた自分のをひっつける。


「…っ!つめた…」
「せんせーの足あったかいってばー!」
「お前ね…」


呆れたような顔をしてても、どこかほんわり優しそうな声。
好きで好きで、二人してそんな雰囲気の中で、のんびりと。


「ナルト、みかん食べる?」
「食べる!」
「はいよ」
「……っと!」


ひょい、と投げられた橙色のみかんをしっかりキャッチする。
しまった、少しへっこんだ。
手の中のそれと、カカシの顔を交互に見つめて甘えるように不満を漏らす。


「剥いてくれるんじゃねーの…?」
「だーめ」
「ケチ」
「あのね、先生の手は今一生懸命にお仕事してるの」


だからそれを剥く暇は無いの。
その言葉に、ちぇ、と小さく声をもらしてから橙色の皮に爪を潜らせた。
みかんの甘酸っぱい香りが漂う。


「せんせ…」
「んー?ナニ?」
「一生懸命に…お仕事…?」
「うん」


その言葉を裏切るように、頬に感じる固い大人の手の感触。
包みこむようにされて、みかんが食べづらい事この上ない。


「みかん…食べれないってば…」
「お前ね…足だけじゃなく頬っぺたもひんやりしてるよ?」


抗議は綺麗に流された。
カカシの熱が移って、頬がじんじんしてくる。
目の前には優しい顔。
やわやわしてるーなどと嬉しそうに言いながら触るカカシの手を押し返すように頬をぷぅと膨らませた。



「なぁると」



にやにやという言葉とはこれのことだろう、というくらいカカシが口の端を上げる。
頬から手を離し、今度は勢いをつけてナルトの頬に押し当てた。



…ぶふっ!!



「っ!?せんせーのバカー!ばかー!」
「はっはっは」
「もー子供あつかいすんなってば!」


がたがたと揺れる机。
口だけでなく、こたつの中では足と足との攻防戦。
見えていないはずなのに、器用にひょいひょいと狭い空間の中で逃げ回る足をようやく捕まえ、ふと気付く。


「…ナルト?」
「…」


いつのまにか、子供の小さな柔らかい足が自分の足を這い回っている。


「ナルト…触るならもっと別のと…」
「おっきぃ…」
「は?」


今度は足の裏を合わせるようにして、ぼそりと呟き、そのままむくれるように唇を突き出した。


「見てろよ、カカシせんせー」
「…あぁ、ナルホドね」















いつか追いついて


身体も


足も


背中も


そして


いつも


同じところで


ずっと一緒に