屋根の上
見上げれば星
周りは闇
ただ一筋の光を求める
−聞こえない言葉−
指先に力を入れた。
ビリ、とそれは小さな音を立てる。
2つに破る。
さらに小さく破る。
1つ1つのばらばらのゴミになるまで。
意味のない文字の羅列。
誰も読むことはなく。
また読むこともできず。
ただ
強い風が、ひとつの紙片も残さずに暗い空へと舞い上げた。
心に灯った気持ちが
指先から零れるように
流れ出して
溢れ出して
止まらなかった
自分の中で相反する感情。
好きと嫌い。
嬉しいと悲しい。
どちらも本当で。
どちらも嘘のようで。
裏を考えずに素直になりたいのに。
汚れた心はそれを許してはくれないから。
「…さむ」
ふるり、と身震いをひとつ。
ひとこと呟いて、その姿は消えた。