「この子は英雄になるよ。里の英雄に」
01 例えあんたのその言葉が嘘であったとしても
今日もまた、石を投げられた。
明日もまた、罵られるのだろうか。
明後日は、肌を切り裂かれることになって。
明々後日は、殺されるのかもしれない。
笑いかけて欲しかった。
誉めて欲しかった。
たとえそれが嘘でも。
英雄になんかならなくてもいい。
石に刻まれることなんて、なくていい。
あの場所に自分の名は刻まれる事などないだろうけれど。
それでもまだ。
俺は望んでしまうのです。
この気持ちが止まらないのです。
いつでも叫び続けているのです。
どうか
どうか
お願いします。
俺を見てください。
一人だけでも構わないから。
皆に認めて欲しいだなんて言わないから。
俺を見てください。
俺はここにいるんです。